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2008年1月13日
「ヴィーナス」(ロジャー・ミッシェル監督、2006年)

「ヴィーナス」は、老人が若い女に入れあげるお話である。
老人はピーター・オトゥール。これが素晴らしい。若い女を見るまなざしが、生と性への執着のきわみで絶品。それでいて威厳や気品、さらには老醜や孤独まで演じきる。アラビアのロレンスの青い目は老いてますます妖しい。
老人がヴィーナスと持ち上げる女(ジョディ・ウィッテカー)が、始終スナックやらジャンクフードをつまんでいる感じの悪い娘という設定が面白い。老人の業を強く感じさせる。
老人が若い女に入れあげるお話は多い。小説では「痴人の愛」、映画では「嘆きの天使」。こうした先例とちがって、本作は心温まるエンディングを迎える。
主役だけでなく主要な人物の大半が老人である。友人役のレスター・フィリップも、別居している妻を演じるヴァネッサ・レッドグレーブもとても印象的だ。
老人を主役にした映画には「八月の鯨」(1987年)があった。90歳を越えたリリアン・ギッシュと、80歳近いベティ・デイヴィス。この二人を主役として登場させたことのみが記憶される映画だった。
「ヴィーナス」は、撮影・編集といった映画の基本的な語り口がしっかりして好ましい。そして、ピーター・オトゥールの快演=怪演や老人たちの好演もあって佳作と呼べる作品となっている。
なお、教会のシーンで、墓碑に刻まれた名前は実在の俳優たちである。ボリス・カーロフ、ロバート・ショウ、ローレンス・ハーヴェイ。
投稿者 kmatsu : 2008年1月13日 21:48
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