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2007年10月27日

インランド・エンパイア(デビッド・リンチ)

インランド・エンパイア Inland Empire」は、デビッド・リンチの処女作「イレーザー・ヘッド」と雰囲気が似ている。制約の少ないところで好きなように作る、自主映画の雰囲気である。

それを支えているのがディジタルビデオカメラによる撮影だという。

じつは、この事実を知らぬまま観始めてすぐに気がついた。ハイライトの白飛び、輪郭の滲み、斜め直線のギザギザ。暗い場面では目立たないが、いかにもビデオである。デビッド・リンチには、映像のクオリティより、制約の少ない撮影スタイルが重要なのだ。まあ、ハイライトの白飛びは、白日夢のような作風に相応しいとも言えるが。

本作では、映画中映画の撮影場面が何度も登場する。そこで使われている機材は聖なるプロ用フィルムカメラのパナビジョンだ。その場面を民生用に近いビデオカメラが撮影する。古い映画屋からすると、なんとも倒錯的な情景である。

そして、白日夢の中でただただ困惑するヒロインのローラ・ダーン。

デビッド・リンチの「ブルー・ベルベット」に「ワイルド・アット・ハート」、「ジュラシック・パーク」(1および3)、「パーフェクト・ワールド」(クリント・イーストウッド)と多くの有名作に登場していても、印象の薄さが印象に残るという人である。

本作では、中年に達した容貌をむき出しでクロースアップに供している。ただならぬ意気込みである。共同プロデューサーに名を連ねてもいる。

ヴィム・ベンダースの「パリ・テキサス」(1984年)では主役を張っていた(生涯で唯一?)ハリー・ディーン・スタントンは80歳を越えている。感慨深い。

投稿者 kmatsu : 2007年10月27日 20:34

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