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2007年2月19日

上海特急

「上海特急」(1932年)は、マルレーネ・ディートリッヒが美しく撮られた映画である。彼女を美しく撮るためだけに作られた作品だといってもいい。

「上海特急」は、「嘆きの天使」に始まるディートリッヒとジョセフ・フォン・スタンバーグ監督との一連のコンビ作品の掉尾を飾っている。二作の間には「モロッコ」や「間諜X27」がある。

IMDBの作品データ

本作、じつは映画としての盛り上がりには欠け、スタイリッシュな雰囲気ばかりが印象に残る。そして、このスタイリッシュな雰囲気はマルレーネ・ディートリッヒを美しく見せるための舞台装置としてのみ機能する。物語が展開する動乱期の中国も(ちょうど満州事変が勃発した直後!)、エキゾチックな書き割りにすぎない。ハリウッド映画の描く外国はいつもそうなのだけど。

とはいえ、ウォーナー・オーランドが演じる反乱軍(軍閥?)のボスの重厚なたたずまいは素晴らしい。悪役の憎々しさのきわみである。スウェーデン出身のウォーナー・オーランドは「チャーリー・チャン」シリーズの中国人役で有名だった。

「上海特急」に先立つ1920年代の無声映画(サイレント)時代、ハリウッド映画では東洋人が主役級を演じることもあった。早川雪舟や上山草人がその例である。ところが、有声映画(トーキー)時代の到来とともに、西欧人が東洋人を演じるようになった。たとえば、ペーター・ローレという俳優には「ミスター・モト」シリーズがある。(ペーター・ローレは、フリッツ・ラング監督のドイツ時代の作品の不気味さが強烈)

「上海特急」で謎めいた中国女を演じているアンナ・メイ・ウォンは、1920年代は主役級だったが、トーキー以降は不遇のまま一生を終えた。早川雪舟や上山草人は日本に戻って活動の場を得たが、米国生まれの彼女に戻るところはなかったのである。

投稿者 kmatsu : 2007年2月19日 21:46

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