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2006年5月24日
悲劇週間 SEMANA TRAGICA
「悲劇週間」(矢作俊彦著、文藝春秋社)の主人公は詩人の堀口大學である。
この本、矢作俊彦の新著ということで数ヶ月前に購入したが、厚さにひるんで手が出ずにいた。主人公が堀口大學とはつゆ知らず、その後、「月光とピエロ」(愛蔵版)を書店で見かけて購入していた。本書を読み始めて、偶然の一致に驚くばかり。
さて、本書は帯に曰く「恋と詩と革命の超大作ロマン」である。堀口大學の父親は日本最初の外交官であり、メキシコ赴任中に20歳でぶらぶらしていた息子を呼び寄せた。それはちょうどメキシコ革命の時期。ここに、恋物語を合わせた物語の構造は、成長小説=ビルドゥングスロマンといえるだろう。
登場人物の中には、明治維新=戊辰戦争やパリコミューンの記憶を引きずっている者がいる。メキシコ革命を含めて、いずれも国民国家形成期の内戦である。こうした内戦は、後世から見れば国民国家が成立するまでのささやかな軋みに過ぎないだろう。国民国家の成立は、世界で同時に発生した歴史の必然だったのだと。
そこに生身の人間がいたことを本書は生き生きと描く。戦いに加わり、あるいは、巻き込まれた人びとがいたことを。
それにしても、矢作俊彦の小説のヒロインたちは、みな気高く堂々としている。理想なのだろうな、きっと。
投稿者 kmatsu : 2006年5月24日 21:52
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