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2006年2月 7日
桜が創った「日本」
佐藤俊樹『桜が創った「日本」』(岩波新書)は、桜を巡る言説の発掘調査である。
明治以降日本全国に広まったソメイヨシノ。そして、それ以前の日本人が愛でた本来の桜たるヤマザクラ。こうした言説自体が近代以降の産物だと著者は言う。
ソメイヨシノを愛でることが日本人固有の美意識であるとする言説も、それ以前のヤマザクラこそが本来の美意識だという言説のいずれも、ソメイヨシノがそこかしこに広く植え付けられてから成立したものだそうだ。
緑色の新芽より先に色の薄い花が咲くこと、開花時期が同一であること。こうした特質ゆえに、ソメイヨシノは視界全体に花があふれる光景を生み出した。だが、和歌では、そんな風景がソメイヨシノが出現する以前から詠われていた。想像が現実に先駆ける、あるいは、想像を現実化したのがソメイヨシノである、と著者は述べる。
国民国家たる日本とソメイヨシノとの関わりがえんえんと論述されるが、ソメイヨシノが散華の美学を表象するといった単純な図式に収斂されることはない。この論述は、筆者がソメイヨシノを好きになれないといった違和感に根ざしおり、それゆえに曲がりくねっていて、正直に言ってわかりにくい。
わたくしは、ソメイヨシノも、ヤマザクラも、シダレザクラも、それぞれに賞翫できる、といった微温的なことを言っておこうか。花見客の酔態だって、ソメイヨシノが作る風景の一つとして受け入れられる。
投稿者 kmatsu : 2006年2月 7日 21:06
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