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2003年12月27日

「死者に語る」

「死者に語る」(副田義也著、ちくま新書)を読んだ。

日本の葬儀における弔辞は、故人に話しかけるスタイルが一般的だという。「対故人型の弔辞は、生者と死者が歴史を共有することができる、歴史において対話を続けることができると約束している。私はそこに弔辞という文章作品のもっとも深い意味を読み取る」(p.224)というあたりが本書の主題だが、それ自体は面白くない。むしろ、「対故人型弔辞」に対する違和感の表明が執拗に繰り返されることに興味が湧く。著者が育ったプロテスタントの環境では、偶像崇拝の禁止から対故人型の弔辞をあってはならぬものとし、対会衆型の弔辞しか許さなかった。そのため、自分が弔辞を引き受けるときも対会衆型を貫いていた。そんな著者が、とくに縁の深かった人物の葬儀に際して、対会衆型では弔辞の原稿が書けず、対故人型に切り替えて筆が進んだ。そのとき、伝統的な日本文化の死者観が自分の内部に存在していることに気づいたのだという。そんな体験談を真剣に記しているあたりが山場である。

なお、裏表紙の著者紹介に「主題のとりかたは奔放、多様だが、手法はおおむね緻密、禁欲的、ときに情感を滲ませる。」とあって、褒めているのか貶しているのか分からなくて面白い。

投稿者 kmatsu : 2003年12月27日 21:54

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